— Still thinking. . .

10/9.Sun.am. 池袋にてプレゼンします:転換期の改革運動失敗について

みなさま、

来る10月9日(日)午前10時半から立教大学池袋キャンパスにて発表を致します。転機ともなった2008年の発表以来、日本では二度目の学会発表です。TEDxTokyo yzでのパーソナルな内容とは打って変わって、今度はかなり学問的にやる予定です。それでも下記の要旨にあるように、3.11を経た私達に響く様なテーマに焦点を当てて発表してみる予定です。

基本的に開かれた会ということですので、僕の発表も含め、好奇心・興味がおありの方は是非お越しください!

2011年度近世イギリス史研究会例会・プログラム  (アクセスマップと研究会HPはこちら
日時:2011年10月8日(土)、9日(日)
会場:立教大学池袋キャンパス 4号館別棟1階4152教室
アクセスマップ

第1日目 10月8日(土)

14:00~17:15(※15:30頃より小休憩の予定)
合評会:
仲丸英起氏『名誉としての議席―近世イングランドの議会と統治構造』
(慶応義塾大学出版会 2011年4月刊)
コメンテータ:青木康氏(立教大学)、井内太郎氏(広島大学)

17:15~17:30 総会・事務連絡

18:00~ 懇親会(会場周辺を予定)

第2日目 10月9日(日)

10:30~12:00
個別報告1:山本浩司氏(エジンバラ大学人文科学高等研究所)
「市民戦争期イングランドにおける「脱プロジェクター」と「改革」
─転換期の改革運動失敗についての一考察─」

12:00~13:30 昼休み

13:30~15:00
個別報告2:穴井佑氏(明治大学大学院)
「1630年代イングランドの安息日論争における異端の意義に関する一考察
─土曜安息日厳守主義者テオフィラス・ブレイボーンを中心に─」

15:30 終了予定

 

山本要旨:
市民戦争が起こった1640年代のイングランド―そこには、激動の時代を、知識、政治、宗教、経済を改革するチャンスと捉えて改革運動に身を投じる人々がいた。プロシア移民のサミュエル・ハートリブが主導したいわゆる「ハートリブ・サークル」である。錬金術から、養蜂や林業、国教会、税制の改革まで、その多岐にわたる野心的活動はチャールズ・ウェブスターをはじめ多くの研究者の注目を集めてきた。しかしながら、なぜ改革の試みが総体として失敗したかという問題についての議論は深まっておらず、議会からの関心とコミットメントの欠如などの外部的要因が指摘されるに留まっている。本報告の目的は、サークルの最重要課題だった「有用な知識」(useful knowledge)の改良と伝播に着目することで、 改革活動が空中分解した内在的要因を明らかにすることにある。

そこで注目したいのが、独占的特許などの濫用を通して私腹を肥やしたチャールズ一世下の「プロジェクター」から距離を置きつつ「改革」を目指すという市民戦争当時の風潮である。「脱プロジェクター」と「改革」の二重のスローガンには多くが同調し、「共通項」として活動の気運を高めた。しかしどのように特許濫用から差別化を図るか、また誰が「改革」を推進するか、少数精鋭なのか幅広い層を巻き込んでいくのかについてはサークル内で議論が深まらなかった。従って改革運動は具体的行動の指針を示すことが出来ず、矛盾する戦略と方向性を抱えたまま尻すぼみになっていったのだった。

本報告はHistorical Journal 2012年6月号に発表予定の拙稿をベースにしているが、そこでは正面から議論されていない改革運動「失敗」の問題に踏み込んで考察するのがここでの課題である。激動の時代に人々はどのように結束をはかろうとし、何に失敗したのか。過去から学ぶのが歴史学の果たすべき役割の一つであるのだとしたら、この近世イギリスのエピソードから、ポスト3・11を生きる我々にとっての教訓を引き出すことは出来ないか。厳密な史料分析に基づいた研究が現代に訴えかけるものはないのか。ハートリブ・サークルについての各論と共に、人文科学の今日的役割についても考えてみたい。

 

*追記 発表時に使用したパワポです。ファイル変換時にフォントに不具合が生じてしまったようですがご容赦下さいませ。
2011 Yamamoto Kinseishi Final Clean