— Still thinking. . .

英語学術書出版への道のり (1)

昨今のイギリスのアカデミア、特に歴史分野では単著を出版することが、研究者としての必要不可欠な第一歩となってきていて、僕も目下取り組んでいます。特にイギリスでは短期契約でない専任講師の職をとるにはかなり重要なステップとなっています。北米は事情が違うかも知れません。英米の出版社から学術書を出版するには、まず契約(book contract)のオファーを手に入れる必要があります。それには本の主たる内容とそれがもたらす知識の前進を説明し(synopsis)、ターゲットオーディエンス(どの分野の学者が読み、どの学部のコースで使ってもらえそうか)を示し、本の構成と各章の概要を示します。これがBook proposalと言われる書類です。

これと併せてサンプルとなる章を1つか2つを出版局の編集者宛に送付します。運がよければこれらが編集者の目に留まり、関連領域の学者のところへレビューに出されます。このレビューが良い返事であった場合、編集者はマーケットチームなどとの会議にかけ、そこで承認されると契約ゲット、ということになりますが、そこに行くまでに大分時間と労力を先行投資することになります。しかも最近は、残りのチャプターも全て書いて、それを提出してから初めて契約、と言う場合もあるようでして、道は長いな、という感じです。

僕の場合は、とにかくかなりの人数の人に博論をなおして出版したいんだけど、どうしたらいい?的なアドバイスを聞きまくりました。それで分かったのは意見は十人十色ということでしたが、大きく分けると、

出版局については

  1. 兎に角早くに出版するべきで、出版社の格には拘るべきでないと言う人、
  2. トップの出版局から狙って行けと言う人

がいました。提出する内容については

  1. まずはプロポーザルだけ送ってみろ、と言う人 (様子見ですね)
  2. また、プロポーザル+サンプルを2章は送れと言う人 (こうすれば相手は無視出来ないというのがポイントのようです)
  3. 博論のまま送ってもよい、と言う人 (これは、、、どういう事でしょうね。)

時間を書けてじっくりと博論を拡張発展させて、大作を世に問え、というアドバイスを勝手に期待していたのですが(汗)そういう意見はついぞ聞く事が出来ませんでした。むしろ、大多数の方が時間をかけずに出版して、次のプロジェクトを進めろ、と言って下さいました。結局僕は昨年の秋ー冬にプロポーザル+サンプルを2章を準備して、有名出版局に送ってみるという方法にしました。

プロポーザルの書き方、その他については各出版局の”authors page”のようなページに指定や書式があったりしますが、実際は結構自由な様です。またロンドン大付属のInstitute of Historical Research (IHR)には大変便利なHow to get publishedの冊子があります。雑誌論文についてもアドバイスがあるので、これから英語での出版も視野に入れている方にはきっと訳に立つだろうと思います。こちらです。あとは、とにかく多くの人にプロポーザルを読んでもらい、アドバイスを貰う事が肝心な様に思います。