— Still thinking. . .

サイモン・シェーファー 「ニュートンの時間」

Institute of Historical Research であったセミナーに行ってきた。

 

22 October 2013
Simon Schaffer (University of Cambridge)
“Isaac Newton’s time”
Link : http://www.history.ac.uk/events/seminars/109 

 

セミナーはニュートンがケンブリッジに引き籠って書いた「プリンキピア」の情報ソースについての話しだった。ニュートンはイングランドから外に行くことは決してなかったけれど、当時のイギリス帝国の拡大する国際貿易ネットワークを使ってかき集めた天体観測や潮の満ち引きのデータ無しでは、ニュートンは月の引力の影響を証明することは出来なかった。帝国拡大がニュートンの科学的営みに役立っただけでなく、その逆もまた真だった。彼の天文学についての研究は、実は長距離航海に必要だった海上での経度測定の精度をあげる為の応用を意識したR&D的な目論みだったのだ。だから彼は天文学を支えた技術開発に興味を示していたらしくて、ロンドンに行けばガラス職人とか望遠鏡職人のところに通って最新の情報を仕入れたりしていたらしい。きっと「こんなの作ってくれ」とか頼んでいたのだろう。科学知識の発展と技術的進歩、その両者と政治的または商業的利害との近さ/proximityを感じる発表だった。それをシェイファーはHistorical geogrpahy of Newtonian physicsという風に語ろうとしていた。ひょっとしたらこれがそのうち論文のタイトルになるのかも知れない。

 

情報ソースや技術応用の次元におけるニュートン物理と帝国拡大の密接な関係、またニュートンと職人や商人との緊密なネットワーク、それらの社会性がニュートン科学の理解に決定的であるという主張は、科学の営みの社会的基盤を様々な形で分析してきたシェイファーらしいものといえるだろう。

 

 

関連文献

 

Simon Schaffer, ‘Newton on the Beach: The Information Order of Principia Mathematica ‘, History of Science, 47 (2009), 243-276.
http://www.ingentaconnect.com.ezproxy.york.ac.uk/content/shp/histsci/2009/00000047/00000003/art00001;jsessionid=21pvt5d8w1lii.victoria

 

Rob Iliffe, ‘Material Doubts: Hooke, Artisan Culture and the Exchange of Information in 1670s London’, The British Journal for the History of Science, Vol. 28, No. 3 (Sep., 1995), pp. 285-318.
http://www.jstor.org/discover/10.2307/4027646?uid=3738032&uid=2&uid=4&sid=21102795991211

 

Adrian Johns, The Nature of the Book: Print and Knowledge in the Making  (1998).
http://books.google.co.uk/books?id=zobsj8npWeAC&printsec=frontcover&hl=fr&source=gbs_ge_summary_r&cad=0#v=onepage&q&f=false