— Still thinking. . .

フリーライティング:英語論文の「最初の一歩」から「推敲」へ

久々にブログの更新です。

今後アカデミックライティングについてのワークショップを開催したいと考えているので、どうやって英語でライティングをしはじめるか、という「最初の一歩」の踏み方、そしてその後の推敲をどうすればよいかについて書いてみます。

僕が共有したいのは「フリーライティング」という「アイデアを吐き出す方法」についてです。

Academic writingについての大体のアドバイスは、英語で文章を書ける人が、既にドラフトを書いた後、どうやって推敲するか、という段階で役にたつようなアドバイスが多いです。(例えば受動態があったら能動態にしよう、とか長い文は二つ以上に分けよう、とか)。つまり推敲の対象となるドラフトを「書ける」ことがそもそもの前提になっています。

では「論文で読むような英文なんてとても書けない」と思っている場合はどうしたらよいか。

僕が学部・院生時代に最初にぶち当たった壁は「なんだこの駄文は」とか「自分は勉強がたりないのでは」とか思ってへこんでしまって、文献を読み続けてしまったり、ネットをやったり、ライティングが進まなくなってしまうことでした。3年くらい博士課程に入ってから、これをwriters blockと言うらしいとようやく知りました。

ではどうすればいいのか。初めて書きだす時は、初めてなりの低めの期待感でwritingをする、ということがコツのようです。とりあえず5分10分でもいいから、時間をきめて、文体や言い回しは一切気にしないで、メチャクチャでもいいからとりあえず、アタマにあることを英語で吐き出す。その5分間は止めないようにする。書けない場合は「oh I feel afraid. I can’t write!!」とか書く。それでも何とか続けられるように、事前に箇条書きのアウトラインだけでも準備しておくと、それが「手すり」になります。(アウトラインは日本語でも英語でも良いかもしれません)。

この「とりあえず吐き出す」方法を「フリーライティング」といいます。(僕は期待感を下げる為にも、”freewriting on XYZ”というようなワードファイルを作って、そこでやりたい放題に書くようにしています。個人差はかなりあると思うのですが、人によってはかなり緊張したり、止めたくなったり、逃げ出したくなったりするかもしれません。(僕はそうなりがちです) その場合は、気に入っている音楽をかけたり、アロマテラピーをしたり、その後食べるデザートを決めておいたり、なんであれ「精神的障壁」を下げる工夫をしてみるといいかもしれません。めちゃくちゃな文章のような何かを一段落でも二段落でも書いたら、休憩でもして、体裁を整えてプリントアウト、その後はアイデアを発展させたり、推敲したりする段階になるので、そこで以下の本が役にたってきます。

Gordon Taylor, The Student’s Writing Guide (1989).
Step-by-stepのエッセイの書き方とリバイズの仕方だけでなく、準備段階となる論文の読み方、分析の仕方についても網羅してあります。表向きは学部生むけということになっているですが、院生・PD・研究者でも参考になる内容です。特にopening paragraphを数回にわたる推敲でどんどんと改善していく箇所や、author’s intentionについてリスト化してある箇所などは眼から鱗でした。新しいエディションも出ているようです。

Joseph Williams, Style: Ten Lessons in Clarity and Grace (various
editions). センテンス・パラグラフレベルでの推敲の仕方に特化した本です。これも評判がよく、これについている例題をやることで読者は我々の文章どう読んでいるのか、ということについて考えられるようになりました。色々なエディションがあるのですが、昔のエディションで練習問題がついているやつが特に良いと思います。

Wayne Booth et al., The Craft of Research (3rd ed., 2008).
リサーチに必要なクリティカルシンキングについてのさらに網羅的なガイドです。個別の分析が持つ「大きな意義」について考えさせるresearch questionについてのセクションや、warrant、qualificationについて箇所などが秀逸です。推敲や論文の準備段階はもちろん、研究計画書の準備にも役にたちます。

Oxford Learner’s Dictionary of Academic English[OLDAE]
用例が学術論文から集められているという最高の代物。収録単語数は少し少ないですが、用例とコロケーションが充実していて、これを確認すれば、どんな言い回しが可能(不可能)かが分かるので重宝します。付属のCD-ROMをインストールすると、強力な辞書がPC上で使えるようになります。図書館が持ってるかもしれません。

同時に語彙力を高める為の辞書としては、Longman Language Activatorもお薦めです。アマゾンのリビューにもあるように特徴的なのは単語の他、フレーズも幅広く採用されている点で、例えば complain をひいてみると、protest, moan といった類義語の他に、make a complaint や go on aboutといったフレーズも掲載され一緒に説明されており、類義語のニュアンスの違い、またそれぞれの用例が簡潔に示されています。こうしたニュアンスはネイティブを前提にした類義語辞典やシソーラスには書かれていないので、とても役にたちます。実際にラフなドラフトが出来ていれば、例えば自分の言いたいことをよりよく表現している単語やフレーズを見つけ、Activatorで、その単語をしようしたアカデミックな文章の用例をOLDAEで検索、なんてことも出来そうです。

これらは博士課程の時かそれ以降に友人・先輩から教えてもらって、「あぁもっと早くに読んでおきたかった」と痛感した本や辞書です。みなさんはどんなtipがありますか?